どこぞのあるテニス王国に待望の姫が一人、この世に生れ落ちました。
























         名前は『  』





         国中が彼女の誕生を讃え、喜び、そして幸せを祈りました。




         しかしそれは突然、ある日をきっかけに何ごとにも変えがたい恐怖へと変わって行ったのです。
















         それは、姫の誕生を祝う祝いの席でおこりました。
   
         招待された3人の魔女。

         魔女らはまだ赤ん坊である姫に一人ずつ贈り物の魔法をかけました。







         一人目の赤の魔女は”誰もが虜になるような美しさ”を

         二人目の青の女は”誰もが羨むであろうテニスセンス”を・・・・・・・・

     
         おのおのが姫に幸せの贈り物である魔法をかけました。












         そして


         三人目の緑の魔女が魔法をかけようとした時




         招待されなかった四人目の黒の魔女が突然現れ




         姫に不幸の魔法、つまり呪いをかけたのです。










         ”15の誕生日、ラケットのガットで指を切り死ぬ”


















         黒の魔女がかけた魔法は、こうでした。



























         祝いの宴は一転、恐ろしい呪いの宴へと変わってしまいました。

    

         席にいた人々は絶望に崩れ落ち、

         会場には黒の魔女の笑い声だけが響いていました。









         そんな時


























         まだ魔法をかけていなかった3人目の緑の魔女が、こう唱えたのです。















         ”姫は死ぬのではなく、運命の王子にキスされるその時まで目覚めなくなる”













         と







































         それから、15年



         国王は国中のテニスラケットを壊し、使用することも禁止してきました。



         そのお陰か、15年前の黒の魔女による呪いは現れることはありませんでした。

         15年間、姫は怪我もせず育っていきました。







         そして、運命の日。












         祝いの宴から丸15年。

         






         国中どこを探してもラケットは見当たらない。





         しかし、不幸の時は不意をついてやってきました。





         一人で白の中を歩いていた姫。

         そして、城の塔の最上階で壁うちを行っていた少年のラケットのガットで指を切り、


         あの呪い通り

         そして緑の魔女の魔法通り、

         姫は眠りに堕ちてしまいました。








         城には黒の魔女の呪いが溢れ、








         いつしか城には棘が這い、どんな人間の侵入も拒むようになってしまいました。





         幸せだったはずの王国が、一瞬で呪いの王国となってしまったのです。




         そして、いつしか人は、この姫の眠る城を『 眠れる森 』と呼ぶようになっていったのです。