ずっと背中を見てるだけ。







         変えたくても変えられない運命だって知ってる。








         でももし、この運命が変わったなら。













         私は、嬉しくて仕方がない。





























         I am here






























         「キャー!!跡部様ーー!!!」








         いつものテニスコート。

         練習中の跡部くんの活躍は、取り巻きの人たちにはたまらないのだろう。

         そんな取り巻きの人たちとは一線おいた離れた場所で、テニスコートを眺める私。






         「おい、鳳!お前はこんなモンなのか?アーン?」

         「いえ!・・・まっま・・まだまだいけます!」





         テニス部員に対して跡部君はボール出しをしているようだった。










         ホントの事をいってしまうと、


         跡部君は私の好きな人だ。


         初恋であって、今も好きだ。

 
         3年になって、同じクラスで、少しづつ話せるようにもなったけど・・・・・。




         でも、それでも『遠い人』。




















         私の手は、届かないんだ。


















         



         テニス部は休憩に入って、跡部君はタオルで汗を拭っていた。

         そこに今まで騒いでいた女の子たちがジュースやらなんやら持って行く。





         「・・・・・・・・・・」




         なんて喋っているのかは分からない。

         でも、女の子たちは楽しそうだ。



         遠くて良くはみえないけど・・



   




         跡部くんも楽しいのかな・・・・・・・・・?











         そんな風に考えたら少し胸が苦しくなった。






























      
















         次の日、私は日直。

         わたしは次の日早く学校に向かった。

         

         「・・・・・・・・・・!!」






         教室に入ると、私は驚きで声が出せなくなっていた。



         誰も居ないと思っていた教室に、跡部君がいたからだ。











         「えっ!?・・・・どっ・・・どうして・・・跡部君が・・・!?」


         「なんだ、お前か。今日は俺様は日直だろーが。
          黒板の字も読めねえのか?アン?」






         椅子に座って、読書をしている跡部君。





         信じられない。







  














         本当、信じられなくって、私は日直の書いてある黒板を見た。








         ・・・・・確かに、跡部君の名前。




























         「そっか・・・・あ、おはよ」


         「ああ、おはよう。・・・・。」




























         ぎこちなく挨拶をかわして、



         彼が私の名前を読んでくれたことに、いっぱいの嬉しさを感じた。



         私の事を知ってくれている。



         なんて幸せなんだろう。




















         跡部くん。



























         「日直の仕事・・・しなきゃね!・・・・・花瓶の水変えてくる!!」











         跡部君。















         どんなに頑張っても振り向いてもらえないこと、分かってる。

















         もう十分、知ってる。




























         でも、私はここにいるから。
















         あなたが見てくれていなくても、ここにいるから。




         ずっと、居るから。



















         









         私は鞄を置いて、花瓶を手に取った。


























         END





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    久しぶりの短編です。
    跡部さまの新連載も考えているのですが、
    なかなか妄想できなくて;;
    今回は切なく頑張ってみました。
    片思いのヒロインさんです
    しかし書いていて、途中から
    「これってストーカーじゃないの!?」
    なんて思ってしまいました(ダメじゃん。
     

                           0700505 ナミダ