一年に一度






         この日に会えること。





         一年に一度。
















         叶えたい願い事。





















































         輝きの願い事

















































         「随分と沢山用意したんじゃのぉ・・・」


         「いいのー!飾りつけは大胆且つ、煌びやかに!!なんだから!」


         「クク・・・まぁ、ええがのぉ・・」







         夏の暑さを感じる今日この頃。


         初夏の夜風が私たちの足元を通り過ぎていく。





         空を見上げれば、数え切れないほどの溢れそうな星。

         きらきら光って、大きな星の川を作っていた。










         今日は一年に一度、会うことを許された織姫と彦星が再会する日。


         七夕。






         家の軒先で、私と雅治は笹に飾り付けをしていた。



         短冊に願い事を書いたりするのだ。




















         「はい!雅治の短冊ー!」



         「ん、了解。」










         私が丹精込めて作った飾り物を飾りつけ終わったあとで、

         雅治に黄色い短冊を渡した。





         

         雅治は短冊を受け取って、いつもの優しい笑顔を私に見せてくれた。



         私はこの雅治の笑顔が大好きで、




         とてつもなく大好きで。









         彦星と織姫みたいに、一年に一度しか会えないなんてなったら・・・



         私、きっと無理だろうな・・・・





















         「何じゃ?。人の顔ジロジロと見て。」



         「なんでもないですよー!さ!願い事書こ!」



         「・・怪しいのぉ・・・・」









         このままだと私の心中を雅治に探られてしまうような気がして、


         強制的な感じで、取り合えず短冊に願い事を書き始めた。






         と、言っても、
















         何をお願いするか、なんてなかなか決まらなかった。

































         「書けたナリ。」



         「え!嘘!?早い!」






         私がペンを片手にあれこれ考えてるうちに、雅治は願い事が書けたらしい。


         短冊を左手でぺらぺらとしながら言った。








         「は書けたんか?」


         「まだ!」


         「そうか。なら頑張りんしゃい。」


         「むぅーー・・・・」













         雅治は私の頭をなでながら言った。


         私の目線はちょっと斜め下で



         雅治の着ているTシャツの色で視界がいっぱいになった。






         




















         私我が侭なのかな?



         考えてたら「あれもこれも」って叶えたいこといっぱい出てきちゃう。




















         空には大きな大きな星たちの塊



         大きな大きな天の川。








         彦星さん


         織姫さん












         今、二人は出合っているころ?



         一年間の想いがつまったタンスを開けて、お互いにお話してるころ?





         幸せですか?



         今日だけしか会えなくても



         彦星さん


         織姫さん










         二人は幸せですか?


































































         「・・書けた!」


         「何て書いたんじゃ?」


         「じゃあ雅治の教えてー!」


         「・・・・そう来たか・・・・」


         「ふふ」









         私は雅治の短冊に目を通す。



         黄色の短冊に書かれた文字をみて、思わず噴出してしまった。











         を幸せにする』












         「ぷっ!」


         「何が面白いんじゃ?」


         「だってこれじゃあ「願い事」じゃなくって、「目標」だよー。」


         「いいんじゃよ、コレで。十分幸せじゃけぇ願い事なんぞ何もないぜよ。」


       



















         「そー言うは何を書いたんじゃ?」


         「あっ!」


         「おっと・・・・・ほー。何なに・・・」


         「いやー!恥ずかしいからやめてー!」









         雅治はひょいと私の短冊を盗んで、目を通した。














         『二人がずっと幸せでいられますように』























         「二人って誰の事じゃ・・・?」



         「それは、彦星と織姫!!ずっと幸せでいて欲しいもん!・・・・・・・・・・・それと・・・」



         「それと?」




         「・・・・・雅治と・・・・・・・わ・・たし・・・・・・」




         「ん?聞えんがのぉ?」




         「んーーーーっ!もう!雅治の意地悪ー!」



        
         「ククク・・意地悪で結構じゃよ。」





































































         それから10分くらい、縁側で雅治と一緒に星空を眺めた。



         







         雅治の黄色い短冊と、私の赤い短冊が笹の葉の間で揺れた。




         空は、ずっと光っていた。





         天の川はきっときっと



         二人を幸せにしてくれてる。

































         私は雅治の肩に、もたれかかった。







         「・・・・・誘っとるんか?」



         「誘ってないですー!」












         雅治は私の肩を優しく引き寄せてくれる。



























         足元を涼しい夜風が過ぎ去っていって、





         雅治の温かい体温。




         落ち着く香り。
















         幸せ。



































         二人がずっと幸せでありますように




































































         一年に一度






         この日に会えること。





         一年に一度。
















         叶えたい願い事。


































         END











         −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

          
          修行場では「テスト終わってから!」なんて言ってたのに・・・

          我慢できなくて書いてしまいました。(コラ)


          街の商店街で七夕の笹がいっぱい飾られてたもんだから、


          ついついこんな話を書いてしまいました(笑)


          明日天気が崩れそうだから、天の川見れないかな・・・(凹


          あと、早くテスト終わらないかな・・・・((凹凹


                                         070706 ナミダ