「どうしたんじゃ?そんなに菓子広げて。」



    「むっ・・雅治今日が何の日か覚えてないの?」



    「はいはい。覚えちょる覚えちょる。ハロウィンじゃろ?」



    「はーい!正解でーす!」











     今日はハロウィン!














     俺が家に帰ればはテーブルの上に大量の菓子を広げていた。

     全く・・・ホンマ無邪気なもんじゃな。







    「雅治!」


    「ん?」






    俺がネクタイを緩めているところに、はててっと寄ってくる。

    んー。いつもの事ながら可愛い可愛い。








    「えっと・・・とりっくおあとりーと!」


    「ククッ・・発音ズタボロじゃよ?」


    「いいの!」









    俺が意地悪く言えば頬を膨らませてそういう

    そんな無邪気な笑顔が、俺の疲れを取り去ってくれる感じがする。



 







    「お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」


    「日本語かの?」


    「だって雅治からかう事ばっかり言ってくるんだもん!」


    「それを愛情として受け取ってくれんのはちと悲しいのう・・・。」


    「もう!都合のいい事ばっかり言うんだから!」










    笑ったり怒ったり恥ずかしがったり。

    の顔はいつ見ても飽きない。




    「いたずらするぞー!!」



    「わかったわかった。ほれ。」









    俺は渋々ポケットからひとつの飴を取り出して、それをの手の中に落とした。


    それを見てさっきのが比べ物にならないほどの笑顔を見せる。









    「ありがとー!なんだー!やっぱり雅治準備いい!」


    「ん?ああ。ソレ先週から入りっぱなしの飴な。」


    「前言撤回!雅治の馬鹿!腐ってたらどうするのさ!」


    「飴は簡単には腐らん腐らん。大丈夫じゃ。」


    「ぶー!」











    俺はゆっくりとソファに近づいてそこに腰を下した。

    よく部屋の中を見てみたら、ジャック・オ・ランタンもあるし、


    少しだけだが飾り付けもしてある。








    ・・・・はホンマにイベントごとが好きじゃのう・・・。









    一人この部屋を飾りつけているの姿を想像したら、微笑ましかった。

    毎年の事ながらイベントのある日にははいつも以上の元気よさ。


    




    「じゃ次!雅治!」



    「俺?」



    「さよう!雅治の番なりけり!」











    ソファに座っている俺に近づいてが言う。


    何で古文っぽいんじゃ。・・まぁええか。

    ・・・・・・・はぁ・・・

    あーもう、これ以上可愛さ見せつけんといて欲しい。










   「欲深ペテン師」が出てきてしまうじゃろ?






    格好の悪い、仁王雅治が。















    「・・・お菓子くれてもいたずらするぜよ。」



    「え?・・・ちっ違うー!『お菓子くれなきゃいたずらするぞ!』だよ!」



    「そんなもんこっちに何の得もなか。」



    「あるじゃんか!お菓子貰えるんだから!」



    



    俺は菓子もらっても「得」には分類せんよ。

    菓子も貰って悪戯もして。


    それで初めて「得」っちゅーもんよ。












    「んじゃ、菓子なんぞいらんから悪戯させてくれん?」


 
    「雅治さん!少し意味が不明!」




    「いいから黙っときんしゃい。」












     悪戯するんは俺のせいじゃなか。



     お前さんが可愛い事ばっか言うから悪戯したくなっただけじゃよ?












    「悪戯、何がええ?」


  
    「え!?私に逃げる道はナッシング!?」



    「当然。」











    そういっている間にの腕を引いて、抱きしめた。



    その瞬間の持っていた飴玉やチョコやらが床に落ちていく。













    「雅治って絶対小さい頃からイタズラっ子系だったよね?」



    「ま、そう言われてみればそうかもしれんな。」




    「ふふっ」



    「どうした?」








    抱き合ったままそんな会話。

    髪の毛、くすぐったいぜよ。





    「なーんかいっつもと同じ展開!」


    「そうか?」


    「そう!」











    その声が楽しそうで、俺もつられて笑った。
























    菓子くれても悪戯するし



    拒まれても悪戯するし




    お前さんが可愛えから悪戯するんよ?





    


    


    ま、それが「欲深ペテン師」の性質ってことで。




    今日も悪戯しようかのう・・・






















    071029 ナミダ