もし骸さんがハンバーガーショップ店員だったら
PM7:00
いつものように仕事を終らせて帰路を歩いて行く私、。
今の現状を伝えると
お腹がすきました!
の、一言で。
私は久しぶりにファーストフードでも口にしようかとここ「ハンバーガーショップ並盛店」へやってきた。
「・・・・」
ウィーンと自動ドアが開いて明るいライトに店内はいい感じの清潔感。
目にとまるのは壁に備え付けられた沢山のメニュー。
レジの前には何人かの客が注文をしていて、どこからか香ってくるフライドポテトのいい香り。
その香りがまた私の腹の虫を増大させる。
(うーん何にしよう)
「並盛店」と書いてあるという事で、まぁチェーン店なわけで。
某大手らんらんるーハンバーガーショップみたいなものを想像してみてください。
メニューはいろいろあるし、セットやら単品やら選択肢は色々とあるわけで。
がっつりとセットメニューを食べるかフライドポテトにオーソドックスなハンバーガーでちまちまと食べるか。
うーん。優柔不断ってとっても困るんだよね・・・・
以前食べた品もあればCMでやってるような新作のハンバーガー。・・・どれも捨てがたい・・・
「そこのお客様、お待たせしましたね。」
「あ・・・はい」
メニューを見上げて「うーん」と唸っていたら、レジカウンターにいる店員さんが私に声を掛ける。
私の前に並んでいた別のお客さんの会計が終わったんだろう。
私は一歩踏み出して、レジカウンターの前に立った。
(えーっと・・・何にしようかな・・・うーんっと。)
「はじめまして。僕は六道骸と言います。」
「え・・・は、はぁ・・・はじめまして。」
「注文は決まりましたか?クフフ・・・」
(ク・・!?なんて変な笑い方するんだろうこの人)
私が言葉を詰まらせつつメニューを眺めていると、店員の人が不思議な笑い方をしながら口を開いた。
いきなり自己紹介してくる店員がいったいこの世界のどこにいるだろう。・・・たぶんいない。
「・・・・」
私は思わず顔を上げてその店員さんを見た。
紺のかかった青い髪に、両目の色が違うオッド・アイ。
何!?この人外人さんか何か!?
「いえあの・・まだ決まってなくて・・・」
「クフフ。では今夜の予定はお決まりですか?」
「・・・・はい?」
はい?はい?はい?
何ですか今の「今夜は俺と食事でもどうだいハニー!」みたいな喋り出しは。
ってかこの人店員なのにこんな事言うなんて頭どうかしちゃってるのかしら。
「あ、いえ。別にただ普通に家に帰るだけですけど・・」
「そうですか。ならば明日の予定は何か決まってますか?」
「あ、いえ。明日も普通に仕事ですけど・・」
「クフフ・・そうですか。なら明後日の・・・」
「あ の !」
このままだとこんな会話がエンドレスで続いてしまいそうだ。
だから私はしびれを切らして少し声を張り上げてその店員に話を切り替えるように言う。
「注文決まったんで注文していいですか?」
「おやおや、もう決まってしまったんですか。」
そう言って「・・残念ですねぇ」とかって溜息交じりに言うその店員。
ちょい待って!
あなたってお客さんの注文聞かなきゃ仕事になんないでしょ!?
っていうか何!?何なのこのお店!?
レジカウンターでお客の注文を聞いているのは店員二人。お客は二列に並んでいる。
あっちの店員はちゃっちゃと注文聞いて品を渡してるっていうのに・・・・この店員はなかなか注文を聞こうとしない。
・・・・一体この人だれなのよ・・・
「はい、それではご注文は何ですか?」
「(いきなり真面目になったなぁ)えっと・・・じゃあポテトMにバニラシェイクにあと照り焼きバーガーで。」
「はい、了解しました。・・・おや、バニラシェイクのサイズは何ですか?」
「あ、そっか。・・・えーっとSでお願いします。」
シェイクって冷たくて飲み過ぎるとお腹壊しちゃいそうだし、そう思って私はSサイズを選んだ。
ピッピとレジを打っていくその店員さん。
ああ、さっきまでの変な会話はもしかしたら彼なりのスキンシップなのかもしれないなーなんて思った。
(ちょっと行き過ぎてるけど。)
って思った。
思ったの。
・・・思ったんだけど。
「あなたはM派ですか?S派ですか?」
「(変態・・!)・・・どっちでもありません!!何言わせるんですか!?」
「そうですか・・・・・なら仕方ない。話を変えましょう。」
(変えなくていいわ・・!!)
「スリーサイズは何ですかね?」
「え?ああ、スリーサイズですか?えっとですねー上から84・・ってぇぇえ!!また何言わせるんですか!!!」
「クフフ・・良いじゃありませんか。減るものでもないですし。」
「へっ減りませんけど・・!もうっ!なんでもいいですから早く注文したやつ持ってきて・・!」
「クッフフ・・・分かりました。少し待っていてくださいね。」
「〜ッ///」
そう言ってその店員さんは店の奥に歩いて行った。
もう・・!もうもう!何なの!?あの店員・・・!!
うー!もう顔が熱いよー!!
「すみません、お待たせしました。」
「いいえっ!それよりお会計・・・(もうこんな所さっさと出たいよー!)」
その店員さんはそれから1分も経たないうちに注文した品を袋に入れて持ってきた。
そうして次は会計に移る。
私は鞄から財布を取り出してレジのお金の表示を見つめた。
「はい、えーっとですね。・・・おや、これは一体どうやって使うんでしたかねぇ。」
「・・・・」
えええ!ちょっと待って!この人レジの使い方分かってないよ・・!!
どうやってお会計するのよ・・!
「仕方ありませんねぇ。もうタダでいいですよ。」
「そんなのいけません!万引きと同じじゃないですかー!」
などという普通ではあり得ないやりとりが少し続き、結局暗算での会計となった。
(本当にこのお店何・・・)
「ふぅ・・はい、ならぴったり380円。」
「はい、確かに。」
・・・この人いつもこんな接客しててクビにならないのかな・・・
そんな事をぼんやりと思いながら私は品を持って店を出ようとした・・・・ら。
「少し待って下さい。」
「え・・・?」
「払い忘れているものがありますよ。」
「えっ・・!?」
突然にそんな事を言われて、私は一瞬驚いた。
さっきちゃんと確かにお金は払ったはず。ぴったり380円。・・なのに、払い忘れたものなんてあっただろうか。
なんて考えていたのも束の間。
「あの、私何か払い忘れてましたっけ・・・?」
「ええ、忘れていますよ。」
「え・・何を払い忘れ・・・」
「僕への愛を払い忘れているじゃありませんか!クハハハ!!」
「さ・・・さよなら・・!」
それから私は「ハンバーガーショップ並盛店」には近寄りもしませんでしたとさ。
ああ、きっと私悪い夢を見てたんんだわ・・・!
end
(変態ネタさーせん!orz)
080405