Please
「・・・・耳、貸して。」
「恭弥?」
耳?耳って‥‥耳?‥‥だよね?
「なになに?何かひそひそ話でもあるの?」
「・・・そんなのないよ」
「え‥‥じゃあ何故耳を求めるの恭弥!」
「(早くして欲しいんだけど)早くしないと噛み殺すよ」
「うわ!はいっ!」
恭弥がなんだか怖い形相&口調で言うから私は慌てて恭弥に近寄った。
「えっと・・耳を貸せばいいんだよね・・」
私は普段髪で耳が隠れている。
だから私は髪の毛を耳にかけようと手を耳に伸ばす。
「・・・・・・・・・」
そうしたら、それより先に恭弥の手が私の髪まで伸びてきて
恭弥はそのまま私の耳元の髪をかき上げた。
くすぐったい感覚と同時に、少し身体がビクついてしまった。(だってビックリしたんだもん!)
「‥‥!?」
「何驚いてるの?」
「だっ・・だって・・・」
恭弥は私の態度も気にかけることなく、かき上げた髪を私の耳にかけた。
うわ!くすぐったいよ・・・!
そうして今度は私の耳の辺りをじっと見る。
いや・・・!絶対わたし耳真っ赤になってる・・!
「・・・・君、あいてるよね。」
「あい・・・あい?・・あいてるって?」
恭弥の言った事がよく分からずに私は恭弥に聞き返す。
「耳に穴。」
「耳に・・・・ああ!うん。ピアスのこと?」
なーんだ。ピアスの事かぁ。
私は自分の耳に触れる。
そうそう。友達が「良いよ」って勧めるし、前からピアスをしたいなぁって思ってたから
私はピアスをしている訳だ。
「それがどうかした?」
「これを付けなよ。」
「?」
恭弥は私の目の前に拳を差し出す。
私は恭弥の手の下に器になるように手を添えた。
恭弥がその拳を開くと
小さな音を立てて私の手の上に光る何かが手に乗った。
「ピ・・・・アス?」
「うん」
「私に・・・くれるの?」
「そう。」
「きょ・・恭弥が・・!?」
「ごちゃごちゃ言ってると噛み殺すよ。」
そう言って恭弥はそっぽを向いた。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
(もしかして、照れてる?)
なーんて突っ込んだら私の命が危ういような気がして
私は黙ってそのピアスを耳に付け始めた。
「どうかな・・?似合う?」
「・・・・さぁね。」
「え!?嘘!?似合ってない!?」
「どっちかって言うと似合ってる。」
そう言って恭弥は私の耳にキスを落とした。
今度は私がそっぽを向いて、照れてしまった。
*
080127 noro
***
「でも恭弥。」
「・・・何?」
「コレって恭弥が買ってくれたの?」
「違うよ。僕はそんなものは買わないからね。」
「え!?じゃあ誰が買って・・・・」
「草壁に買わせた。」
「・・・・・・・・」
(草壁くんお疲れさま・・!!)