おめでとう












        「むくろー!骸ストップ!!」


        「おや、なんですか。そんなに息を切らせて」


        「っはー・・ホント骸とことことことこ・・・歩くの早いんだから!もしかしてトイ・・」


        「トイレに行きたかったわけではありませんよ」


        「あ、そーなの?」


        「そうです。」






        私は歩いている骸を見つけて、その後から走って骸に追いついた。
        骸は私に気づく事無く歩いて行っちゃうものだから、私はしまいには息を切らせてしまった言う訳だ。

        ・・・にしても何となくトイレ我慢してるように見えたんだけどなぁ・・・・

        ま、いっか。



        それはそうと!私がこうして彼を引き留めたのにも訳がある。

        そう、今日はいつもと違う特別な日なんだから・・・・!









        「はいっ!骸!」


        「おや・・・?これは・・?」







        私はにぱっと笑顔になりながら骸の前にバラの花束を差し出した。

        花束って言っても肝心のバラは数本しかない、ちょっとしたようなものだ。



        骸はというと私が差し出したその花束を見て、不思議がりながらも目を細めて笑う。



        ・・・まったくもー。本人って意外に気づかないんだよね。

        今日は6月9日。・・・・骸の誕生日だっていうのに。








        「もーう!忘れたの!?今日は骸の誕生日じゃない!」


        「・・・そうですけど・・・でもこの花束は?」


        「だからー!骸にプレゼント!」






        骸は私のその言葉を聞いて驚いたように私の目をみた。

        何よ何よ、私は骸の彼女なんだからこういうことするのって当たり前じゃないの。






        「クフフ・・そうですか・・・ありがとうございます」







        ・・・なんて思っていたら、骸は私の手からその花束を手に取った。

        私は少し満足げにふふん、と鼻を鳴らすようにして骸に笑顔を見せる。


        骸も答えてくれるように私に向かって微笑んでくれる。



        でもその後でちょっとだけ恥ずかしくなって、私は顔をちょっとだけ背けた。





        「ほ、ホントはね」


        「ん、なんです?」


        「ホントはもっともっと大きくて綺麗な花束とか、ケーキ作ったり、

        プレゼント買ったりしたかったんだけど・・・ちょっと・・今お金がなくって・・・」







        「ははは・・・」と付け足して無理に笑っていたら、骸は私の頭をそっと撫でてくれた。

        私は驚いて彼を見上げる。







      
        「十分なものを貰いましたよ、僕は」


        「そう・・かな・・・」


        「ええ。」





        彼は小さく笑って、それと同時にその青深い色の髪が揺れる。







        「”誕生日”なんて今までどうとも思ってませんでしたから・・・」


        「骸・・?」


        「でも今年はにこうして祝えてもらえて、それだけで十分ですよ。」





        

        また、骸のその瞳を見ていたら


        そっと、額にキスされた。





        ホント不意打ちだ。心の準備ができてないのに。


        私は無駄に恥ずかしくなってしまって、だんだんと顔が熱を帯びていく。








        「おや、恥ずかしいんですか?」



        「・・・だって!おでこなんて反則!・・なっなんか逆に照れる・・!」



        「クフフ・・・・口の方が良かったですかね?」



        「もっと照れるから嫌!」








        おめでとう、ってたったの五文字だけれど



        それはきっと特別な想いであふれかえってる言葉なんだ。







        「もう・・・・でもとにかく・・!骸、誕生日おめでとう」













        おめでとう




















        そして、貴方が今ここにいてくれてありがとう。

















       END









       ―――――――――――――――――――――――――


       うぁああああ!1週間も遅れてしまいました・・OTL

       骸さん、誕生日おめでとうございます

       こんな夢ですが許してやってください


       今まで色んなキャラの誕生日夢を書いて来たけど・・・
       なんだか誕生日夢って難しいや・・・(^ω^;)


       ともかーく!(ウワァ)

       骸さん、誕生日おめでとうございます

       永遠の15歳、

       むしろ永遠の10年後の骸さまへ。(末期)



       080615