うん、言おう!絶対!!


   だって今日はバレンタインなんだから・・!








   I can ・・・









   「クフフ、なんだか落ち着きませんねぇ。女子の部屋に上がるというのも」


   「うわ!ごめん!やっぱり居づらい・・?」


   「いいえ、別に心配するほどでは無いですよ。」


   「そっか・・良かった・・」





   今日はバレンタインデーだ。

   恋する乙女、特に片思いの女の子は特にいつもより頑張っちゃう日。

   

   そんな日だからこそ、私は一大決心をしたのだった。





   長年言いたかった、「好きだ」という気持ち。

   これを骸に伝えたい!






   毎日骸とは顔合わせしてるんだけど、でも”告白”となるとそれらしいチャンスっていうのは
   巡ってなんて来ない。


   だから、決めた!

   私は今日骸に告白をする・・!!


   ずっとずっと想い貯めていたこの想い、ぶつけるぞ!頑張るぞ!




   「・・骸、紅茶?コーヒー?」


   「そうですね、ではコーヒーをお願いします」




   ───ということで・・・今日は頑張りたいと、思う・・うん・・・


   バレンタインのお菓子を渡すのを口実にして、骸に部屋に来てもらって

   あとは流れと雰囲気とタイミングをみて告白!



   ・・そんな計画をたててみたんだけど・・・




   「・・はぁ・・私にできるかなぁ・・」


   「何がですか?」


   「ひゃ!骸!?いたの!?」


   「あのですね、に呼ばれて来たんですからいるのは当たり前です」


   「あ、そっそっか・・・って!お湯沸いてるー!」




   急に骸に声かけられたからびっくりしちゃった・・・!ってそれどころじゃない・・!

   火止めなきゃ!火!!


   

   「わっ噴きこぼれっ・・あっつーい!!」


   「危ないですよ!!・・本当に世話がかかるんですから・・」



   そう言って骸は私の手を取って、流し台の水道の水でその手をつける。

   ・・・はぁ・・・初めから失敗しちゃった・・・。





   「大丈夫ですか?」


   「う、うん・・ありがとう・・・」


   「貴女は本当に危なっかしい人ですね」


   「う・・・でも今日は頑張るんだから!はい!骸はくつろいでて!」


   「・・・心配ですね・・・」



   





   ───骸はなんだかんだ言ってこんな私の面倒を見てくれてる




   ・・・クフフって笑うこととか




   「まぁでも、がコーヒー入れてくれている間に、僕はタンスの中でもみておきますかね」


   「骸、今何か言った?」


   「いえ、なんでもありませんよ」



   変態なところを除いてみると



   本当に、カッコよくって

   そこに惚れてしまった私なんだけれど・・・






   「・・・・」



   私はずっと骸の事好きだったんだけど、骸は私の事どう思ってるんだろう・・・


   なんて、そんな結論のでない事をすぐ頭に浮かべてしまうのだ。


   ・・・友達、みたいな位置だったら・・なんか残念だよ・・




   

   それから少しして、コーヒーと紅茶を淹れ終わった。






   *





   「ど、どう?おいしくない・・?おいしい・・・?」


   「クフフ、普通においしいですよ。さすがですね。」


   「ほ、本当に!?良かった・・」



   骸に食べてもらったお菓子はガトーショコラ。チョコで作ったケーキだ。

   骸がチョコ好きでよかったなぁとか思いつつも、ほっと胸を撫でおろす。



   でも喜んでくれてよかった・・・ふふふ・・・



   ・・・・。

   って!!

   


   こんな一人で和んでる場合じゃないのー!


   が、がんばらなきゃ・・・ゆ、勇気をだして・・・・






   「あ、あのね、むくろ!」



   「・・・何ですか?」



   「あのねっ・・私、むっむっむっむむむ」



   「む?」



   「むむむむ、ムツゴロウさんって偉大なひとだと思うの!」


   
   「まぁ、いろんな動物と心通わせてますからねぇ。」



   「っそっそうなの!すごい人なの!」





   そこでずぞーっと私は紅茶を飲んだ。

   ・・ち、ちがう!そ、そうじゃない、落ち着いて!落ち着くのよ私!




   「えっと、ムツゴロウさんも偉大なんだけど・・ってそうじゃなくて・・・」


   「?」


   「あのね、その、私ね、むむむむむくむくむく・・」


   「むく?」





   心臓って、こんなにドキドキするものなんだ

   ああ、もうだめ ドキドキしすぎて意識飛んじゃいそうだよ





   「・・むくろが、好き」


   「・・・・」


   「好きだよ、好きなんだよ、ずっと」




   骸の目を見て、ちゃんと言えた自分にちょっとご褒美をあげたい気分だ。

   少し驚いたような骸の顔から目が離せなくなる。











   「・・・僕も、好きですよ」











   「え、じゃあ・・私の事・・・」


   「黒って落ち着きますしね。クフフ。」


   「はい?黒?」


   「ええ、の好きな色が黒というのは今初めて知りましたけど」


   「・・・・」





   ・・・。


   ちょっと待って


   伝わってないじゃない・・!!!


   「黒」じゃない!私が好きなのは「骸」なんだってば・・!

   も、もう・・・!




   「もう!ちっ違うの・・!黒じゃないの・・!骸なの!」



   「僕、ですか?」



   「骸が・・・」



   「・・・・・」



   「骸の事がずっと好きだったの!ずっとずっと、好きだったんだよ!」



   「・・・




   もう何が何だか分からなくなって体中の力が抜けていく

   い、言えた・・ん、だよね?私・・・骸に「好き」って・・・




   「骸は、私の事・・・どう思ってるの・・?」


   「・・・僕は・・そうですね・・・」







   ・・・ああもう人の返事を待つのは恐い。

   例のクイズ番組の「ファイナルアンサー」って言ってから司会者が「正解」って言うまでの
   あの長さみたいな!


   心臓が、もう、だめ・・・








   「将来貴女とは結婚したいとは思ってますが」



   「・・・・はい?」






   予想外の答え。

   う、ううん・・予想外過ぎてなんてリアクションをすればいいのか分からない!


   ”結婚”ってあの結婚?


   夫婦になるとかっていうそういうあれ?




   「けっけけけけけけけ」


   「クフフ。駄目ですかね?」



   「えっいやっその!結婚とかってそういうのはダメとか良いとかそういう次元の・・・」






   口がうまく回らない。

   いや、あの、私今日はただ告白しようとおもっただけで、プロポーズされようとかそういう・・・



   私があわあわと慌てているうちに、なぜか骸と私の距離はぐっと縮まっていた。





   「む、くろ・・?」



   「クフフ・・は僕のことを恋愛対象として見ていないんじゃないかと思ってたんですが・・

    ちょっと安心しました。さっきの貴女の言葉を聞いて。」



   「・・・・・」



   「毎日毎日、我慢してたんですけどね・・いい加減、貴女に触れてもいいですかね?」



   「・・・え・・」



   「なんです?キスくらいさせてください」





   その時の骸の顔は下心ある変態の顔とか、そんなのじゃなくて

   本当に真剣だったから・・・



   私は彼の要望に首を縦に振ってしまった。







   「うん・・・」
















   *












   「───・・・っていう流れはどう!?」



   「あー?なんか骸さんにはちょっとありえねー」



   「え、じゃっじゃあ千種は!?この”家に骸さんを呼んじゃおうぜ作戦!”はどう思う!?」



   「骸さまは、たぶんキス以上の・・が考えてる以上の行動に出ると思うよ・・」



   「キス以上の・・?・・・はっ!なんてハレンチなっ・・!!千種の馬鹿っ!」



   「・・・めんどい・・」



   「なー、、それより俺のチョコはあるのかー?早くくれよー」



   「だめ!バレンタインは明日なんだから!ちょっとそれまで待って・・・あ。」



   「ん?・・・あ、骸さんだびょん!」



   「おやおや、どうしたんですか?こんな所で。」



   「えーっとれすねぇ、なんでもが骸しゃんといい感じにな───もがっ!」



   「なっなんでもないの!こっちの話!」



   「・・・クフフ、僕に隠し事ですか。」



   「違うってば!・・あ、もうこんな時間!そ、それじゃあね!」



   「・・・逃げた。」



   「・・・逃げましたね・・・」



   「・・・」



   「クフ、・・しかしは隠し事をするのがいつまでたっても下手ですね

    僕の顔をみると、すぐに赤くなってるんですから」



   「・・・骸さま、今何かおっしゃいましたか?」



   「クフフ、いいえ、独り言ですよ」










   明日、バレンタインだし・・・


   言えるか分からないけど


   言おう





   骸に、「好き」って。













   Fin






   ───────────────────────────

    ふざけた夢ごめんなさい

    結局は夢オチではないんですが、
    バレンタインを骸とどうすごすかっていう計画を
    ヒロインさんと犬と千種3人で考えてたっていう話でした

    ああもういろいろと訳ワカメになってしまいましたOTL



    090217 夏目