「・・・・やっぱ棘がすごいっすね・・・・・・・・・気をつけていかねぇと・・・」






         「そうじゃな・・・・・ん・・・・・光が見えたぜよ。」







         「あ!マジだ!!!!」































         城についた彼らは姫の眠る、城の塔へと足を進めていました。


         黒の魔女の呪いのせいか、城の中には埋め尽くすほどの棘が這っていました。





         そして、彼らはやっと、姫の眠る最上階までやってきたのです。








         が、






         そこにはさっきまでとは比べ物にならないほどの棘の量。



         人が分け入って行くにはかなりの勇気が必要です。




















         「くっそー!ここまで来たってのにぃ・・・・・・・棘が邪魔で近づけねぇっての!!!」



         姫はすぐそこで眠っている、


         運命の王子を夢見ながら。







         そのとき・・・・・・・・・・・・・・・・・・


















         『フフ・・・・・・困っているようだね・・・・・』




         「「「!?!?」」」









         城の中から突如声が聞こえて来ました。

         その声は、どこか三人の耳に聞き覚えのある声だったのです。




         『でも困っていても、行かせてあげないよ・・・・・・だって、姫は僕のものだから・・・・』




         キョロキョロと当たりを見渡していたブン太王子と赤也王子が一斉に声を張り上げた。




















         「「ゆっゆっゆ・・・・・幸村!?!?!?部長」」





























         それと同時に姿を現したのが、冒頭でお早ーーーーーいリタイアをされました、あの幸村王子。



         彼は病院へ向かったはずでは?


         そんな疑問がブン太王子と赤也王子の頭をよぎっていました。




        


         「フフ・・・・不思議そうな顔をしているようだね、二人とも。」



         いや、そりゃあね。


         誰だって不思議ですよね。



         「ま、仁王はどういうことかもう分かってるみたいだけどね。」



         幸村王子の言葉を聞き、仁王の方を振り返るブン太と赤也王子。






         「仁王、知ってたのかよ!?」


         「なんとなくだがのぉ・・・・気付いとったんじゃよ。」





         さすがペテン師の仁王王子。

         読みが早いです。





         「どういうことっスか!?仁王先輩!説明してくださいよ!!!」



         赤也王子もまだ状況が理解できていない様子でした。





         「んー・・・・・・・なんと言ったらいいのかのぉ・・・・・・・・・・・
          姫に呪いをかけたんは、この幸村じゃよ。」






         「「はぁ!?」」











         「すごいね、やっぱり仁王は・・・」



         そう言って幸村王子は笑う。



         「って・・・ち・・・ちょっとタンマ!!!
          じゃあ・・・・・幸村部長は・・・・・・・・・・・・・・・」


         「黒の・・・・・魔女・・・・・・・!?!?」






         「その通り。・・・正確には魔男、なんだけどね。」






         そういって幸村魔女・・・・・・じゃなくて自称魔男・・・・・・・・・・(言いにくいので魔女でいいや)
         はクスっと笑いました。






         「幸村王子を装っていたっちゅーことじゃな?」


         「ああ・・・そうだよ、仁王。
          僕は姫が生まれた時から姫に惚れてるんだ。だから、姫が死んでしまえば姫は僕のモノになるだろう?
          それを狙って姫に呪いをかけたんだ。」







         幸村黒っっ!!!考え黒いです。
         だから『黒の魔女』なんですね・・・・・・・・・・。




         「それは姫もいい迷惑じゃな・・・・・・」


         「悪いかい?」





         「・・・・・・・・・・・」


         「・・・・・・・・・・・」




         その時ブン太王子と赤也王子は幸村魔女の後ろに見える、黒い炎にきがつきました。


         そして、同時にこうも思いました。









         『 真の王子はあの仁王王子かもしれない・・・・・・いや・・・っていうか、100%そうだ!!!!』


         と。












                  

         真に恐ろしい魔女とあれだけ対等に渡り合えるのは、真の王子、しかいないのですから。
















         











         「姫は愛しい存在だ。
          僕はずっと待ってたんだよ。彼女が生れ落ちてくるのを。」


        
         「そんな御託はいらんのぉ・・・・・・・・・姫を自分のものにしていいんは、俺だけじゃよ。」



         「言うようになったね、仁王王子。」








         ああ、黒い・・・・・・・黒い炎が・・・・・・・・・・








         「でも、キミは姫に口付けを交わすことも、近づくことすら出来ないだろ?この棘じゃ・・・・・・」








         幸村魔女は姫が眠っているであろう方向を指差しました。


         確かに、そこは人が分け入って行くには無理のある棘の数。








         「・・・・・・・・・・・・・・・・」



         「わかっただろう?・・・・・・・・姫は、永遠に僕のものでありつづけるんだ。」




         「だれが諦めたと言った。」




         「え?」









         仁王王子は、あの意地の悪い笑顔になって幸村に言います。










         「こんな棘、俺の愛で吹き飛ばしたるけん。」



         「なっ」












         そう言って、仁王王子は姫が眠っている場所の正面に立った。

         そしてゆっくりとテニスラケットを持ち、構える。





         「そんな事はできない!僕の姫に対する・・・・・」



         「幸村、よぉ見ときんしゃい。」







         仁王は一息おくと、その棘にテニスボールを勢いよく打ち込んだ。






         「!!!」














         すると、不思議なことにそのボールが棘を消していくではありませんか。












         その光景に、そばで見ていたブン太王子、赤也王子、そして何より、黒の魔女幸村は何も言えないで居ました。











         ボールを打ち終わった仁王王子は、幸村の方を振り返りこう言いました。




























         「見てみぃ、俺の愛が姫の目覚まし時計じゃ。」



















         それを聞いた幸村魔女は、なんともバツの悪そうな顔をして去っていきました。














        
























         「・・・・・・・・・・・・」
















         今なお眠っている姫に近づいた仁王王子は、姫の顔を覗き込みました。




         姫は、その寝顔からも分かるようにほんとうに美人でありました。



         白い肌、長い睫毛、そして少し赤く染まったままでいる姫の頬。


         仁王王子はその整った顔を己の長い指でなぞっていきます。
























         そして、

















































         唇に手をかけ、姫に口付けを交わしました。























         「・・・・・・・・・・・」






         角度を変えながら何度も何度も。


         まるで何か大切なものを扱うかのように・・・・・・・・・・・・


























         「・・・・・・・・・・・んっ・・・・・ふ・・・」








 















         そのうちに、苦しくて目覚めたのか、




         王子の愛で目が覚めたのかは不明ですが、




         姫が目を覚ましました。



















         「やっと起きた。」



         「あっ・・・の・・・・・・・・・・おう・・・・王子・・・・さ・・・ま?」





         姫は、赤く頬を染めながらも仁王王子に言います。









         その姫に、仁王王子はささやきました。







































         「おはようさん、姫。」











































         こうして、多々おかしなことはありましたが



         運命の王子様は眠りの森より、姫を目覚めさせたのでした。











































         棘の道を愛で満たしながら。






































         



     

























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     なんというか・・・・・反省・・・・・
     余計に長く、そして幸村くんがっ!!!!!NO!
     柳なんてほんと一瞬しか出てこなかったですね・・・・・・・・
     ってか「病院送ってくる」とかいって、どうしたんだろう・・・・・
     実は、幸村が黒の魔女だと知っていた!とか・・・・・・・・
     あぁぁあああ・・・・・欠点だらけです・・・・・・・・
     結局仁王君おちでしたしねv
     ジャッカルも影が薄かった・・・・・・JJ
     
     こんな駄作、そして一人で勝手にパラレル企画をし、
     ここまでお読みくださってありがとうございました!
     
                               070408 ナミダ