「なるほど・・・・・『理解しがたいほどの不思議な力をもっている人や物。
          また、とび抜けた実力や強い影響力・支配力をもつ人物』・・・・とはアナタの事でしたか・・・・」





         「そうだ、俺はこの森に住む『怪物』と呼ばれる跡部様だ。」



         「フン、まさかとは思っていたが・・・・お前がそうだったとはな・・・・・」




         この不思議なくらい不気味な森に、どうしてこんな土派手なお方が住んでいるのかは・・・・・秘密として・・・


         でもとにかく王子達はこんな所で道草を食っているわけには行かなかった。









         「・・・・・・ってか・・・・『怪物』はお前だけじゃなさそうだよな?」


         「フン・・・よく気付いたな・・・・おい、お前ら出て来い。」







         ブン太はガムを噛みながらも、『怪物跡部』の後ろの茂みを睨みました。

         その茂みからは、二人の影があります。


         二つの影は、跡部の合図で王子たちに近寄ってきました。





         「なんや・・・・不意をついて俺が王子の役に回ろう思とったのにな・・・・なぁ岳人。」


         「そーそー・・・・ま、ばれちまったもんは仕方ないだろ、侑士。」





         「ゲ・・・・」

         そんな赤也王子の声が響いて、その茂みから出てきたのは、

         跡部の手下の忍足と向日でした。





         





         「なんじゃ・・・・・・変な奴らのお出ましやのぉ・・・」


         
         「まったく・・・・この森にはとんでもない怪物がいたものですね・・・・」



         柳生王子がため息を着きます。



         「で、お前たちは何の用だ?
          我々は先を急いでいる。道を明けろ。」



         俄然強気な真田王子でありました。







         「黒の魔女にてめぇらの足止めをするようにいわれてな・・・・・・
          普段なら人の命令は聞かねぇ俺様だが、足止めが成功すれば王子役を奪えるらしい。」


         「せやから、あんたらを姫の所に行かせる訳にはいかへんっちゅーことやねん。」



         「そういうこと。」





         『怪物』の三人組はニヤリと笑いながらそう言います。




         「はぁー!?黒の魔女も余計な事してくれますね」


         「うむ・・・・黒の魔女はどうしても我々の邪魔をするようだな・・・・・」




         かなきり声を上げる赤也王子と、対照的に推理する真田王子。




         



         「・・・・・・・・」





         真田王子は何かを考え始めました。




         「なんじゃ・・・そういうことやったら、この怪物を倒せば先に進めるっちゅーことじゃな?」


         「まぁ・・・そういうことだろうな。」


         「そういうことですね。」


         「じゃぁ簡単じゃないっスか。」



         短気な王子達は、もう戦闘モード。

         自らのテニスラケットを手に、跡部たちの前に立ちました。




         「・・・・・仁王、赤也、丸井、桑原、柳生。今ここで戦うのは得策ではない。」




         何かを思い立ったように真田王子が彼らに言いました。




         「!?なんだよー!真田王子ー!これから天才的な・・・」


         「これからこのアミダくじを引くことにする。」


         「「「「  は?  」」」」





 




          真剣に真田王子が言うから、それが一層おかしく思えて王子達は間抜けな反応しか返せませんでした。






          そういう真田王子の手には、何処から出してきたのか・・・アミダくじがある。

          一体彼は何を考えているのでしょう?





          「真田・・・・お前さん何考えちょるん?頭おかしくなったのか?」


          疑い深く仁王王子が言います。





          「おかしくなってなどいるものか。
           いいか、よく聞け、時間がない。」





          まぁ、敵が3人も目の前にいますからね。

          『おい、そこ、何話してやがんだ、アーン?』

          なんて跡部が言うが、気にせず真田は続けます。



 
          「真の王子はこの中にいる。」


          「まぁ、真の王子はこの俺ですからね。」


          二ヒヒと笑いながら赤也王子。


          「赤也、それはこれから引くこのくじで決まる。」

 
          「え?どういうことスか?」


          「よく意味が分かりませんね。」


          赤也に続いて柳生王子も言いました。

          二人だけでなく、他の3人の王子も何がなんだか分からない様子。





          「真の王子、それは運も併せ持っている王子のことであろう?
           ただ冷静な判断ができ、テニスのセンスがあるだけではいかん。運も時には必要だ。」




          真田王子がこんな事を言うかは置いておきまして、このピンチな状況を切り抜ける為には仕方がないことのようです。





          「当たりを引いたものが姫の待つ眠りの森の城へと向かう。
           ハズレの者はここに残り奴等を食い止める・・・・・・・・・・・・・これでどうだ?」





          真田王子の説明を聞き終わった王子達は、自然と笑みをこぼしていた。





          「なるへそ!そーゆー事!」


          「分かったぜ・・・・引けば全部決まるんだろ?」


          「そういうことですか・・・・まぁ運も実力のうち、と言いますしね。」


          「俺は当たりを引くつもりでいるんスけど。」


          「おう、赤也、奇遇じゃのう・・・・・俺も城を目指すつもりじゃ。」


          





         「覚悟は決まったようだな・・・・・・・
          では、くじの場所をきめる順番はジャンケンで決めるとする。」





         真田王子がそういうと同時に、「おー!」なんていう掛け声がその場に響いた。









































         「・・・・ぅおっしゃぁあああ!!!!!!!!当たりぃ!!!」


        




































         アミダくじを全員が引き終わって、さっきよりも大声で盛り上がり始める王子達。










         「結果は出たようだな・・・・・・・・では、それぞれの決まった運命に沿ってこれから行動することにする!!」



















         あみだくじの結果・・・・・・・・・・・


         ハズレを引いたのは、ジャッカル王子、柳生王子、そして真田王子。



         当たりを引いたのは、ブン太王子、赤也王子、そして仁王王子。



         






         「おい!雑談はおわったのかよ!?アーン?」


         「こっちはえらい退屈なんやけどな・・・」


         「そろそろ覚悟きめろって。」





         『怪物』のみなさまはもうご立腹の様子。





         「そういうことです。さぁ!三人ともはやく城を目指してください!」


         「言われなくても・・・・・」


         「喜んで・・・・・」



         「行かせてもらうとするわ!!」





         猛スピードで跡部達の横を駆け抜け、城へ向かう3人の王子でした。

         そのいきなりの出来事に跡部たちは成すすべもなく・・・・・・・・・




         「チっ・・・あいつら・・・・逃げよったで・・・・」


         「おい、忍足!向日!ここはお前らで片付けろ。俺様はあいつらを追・・・」


         「そう出来るとでも思っているのか?跡部。」





         ブン太王子達を追いかけようとする跡部達の前に、運のカケラもない居残り組みの3人の王子が立ちはだかりました。





         「アナタ達の相手はワタシ達ですが・・・・・?」








         テニスラケットを構えて、柳生王子が静かに言った。


























































         一方、こちらは城を目指す王子3人。




         




         「あの城じゃないっスか!?!?」









         あの不気味な森は、走ればすぐに抜けることが出来、すぐに『眠りの森の城』が見えてきました。   

         城は昔繁栄していた気配のカケラもなく、棘が這っていました。







         「あの城のてっぺんで、姫が寝てるってことだよな!!」


         「そうじゃろうな・・・・・・しかし・・・・」


         「ん?何だよ・・・仁王?」




         城は見えてきたと言うのに、一つの喜びも見せない仁王王子です。


         喜ぶとは逆に、何か考え事をしている様子。





         「何か嫌な予感がするんじゃが・・・・・・・・・」



         「んーなこと考えんなって!!!さっさと姫のとこまで行こうぜ!!」



         「そうっスよ!急ぎましょうぜ!」



         「ん・・・・ああ・・・そうじゃな・・・」



















         こうして、8人から6人、そして6人から3人と、王子の数は減っていきます。





















         真の王子は姫を目覚めさせることが出来るのでしょうか?






































         はたしてこのお話の結末は?

















         
       





              美女の眠る城砦へ







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