みなさま、クリスマスといえば何をご想像でしょう?
雪、サンタ、プレゼント、イルミネーション、ツリーにリース・・・・色々なモノをご想像な事かと思います。
───クリスマス当日。ここで男子テニス部レギュラー陣があることを思い立ちました。
それはクリスマスの日に『マネージャーのに日ごろの恩を返す事』
” クリスマスの日に内緒でケーキを作って、彼女にプレゼントしてしまおう!” というサプライズを彼らは計画しました。
・・・・・・・・が。
どたばたプレゼント
12月24日。冬休みの学校の調理室。
ここに名のある立海大附属中等部男子テニス部のレギュラー8人がそろっておりました。
何故かみなさんエプロンを着用しております。
「いいかい?これはを喜ばせるためのケーキ作りなんだ。みんな、つまみ食いなんてしたらどうなるか分かってるよね?」
部長の幸村がおどろおどろしい空気(※黒魔術に近い)空気を放ちつつ言いました。
それにおじさん顔の真田が答えました。
「幸村の言うとおりだ。これはを喜ばせ・・丸井ぃ!」
「うぉああっ!」
真田の大きな声に丸井が驚きました。丸井は驚いた反動で横に居るジャッカルの頭を叩き、
バシン!という音とジャッカルの「痛ぇ!」という声が響きました。
「言っている側からガムを食べるな!唾が飛ぶだろう!?」
「弦一郎そういうお前も唾が飛んでいるぞ。」
「ムっ・・・」
真田がそれはもう大きな声で言っている側で、落ち着いた雰囲気の柳が言い放ちました。
真田はそれを聞いて、口をむっと紡ぎます。
その次に、痺れを切らしたのか今まで黙っていた柳生が口を開きました。
「まぁとりあえず作業を進めましょう。早くしないとさんが学校に到着してしまいます。」
(ハッ・・・・・!!!)
紳士のその一声で、全員が一斉に我に返りました。
そう、今日の練習は午後から。そんな日はが学校へ来るのは決まって午後1時前。(※参謀調べ)
それまでに彼らはクリスマスケーキを作り、にそれを渡さなければいけないのです。
──ついでに言っておくと、ただ今の時間午前8時30分。
「にしても俺ケーキとか作った事ないっすよ?」
「だーいじょうぶじゃよ。丸井がおるけぇ。」
切原のふとした疑問に銀髪の仁王がうっすら笑いながら言いました。それに丸井が答えます。
「おう!任せろぃ!俺の天才的料理っぷり頼ってくれよ!」
丸井はウインクしながらみんなに言いました。
実はこちらの丸井ブン太。食べるだけじゃなくってケーキ作りも得意なそうです(※参謀調べ)
付け加えて言うと、丸井以外のみんなはほとんどケーキを作った事がないそうです。
あらあら。って感じで。上手くいくのかって感じで。
不安も入り混じる中、彼らはケーキ作りを始めました。
*
「さてと。ん?・・・・あれ?この本ケーキの作り方書いてないね?」
ふるいやボールや泡だて器や食材を用意し終わった頃、幸村部長が静かにそう言いました。
(彼だけ何故か椅子に座って傍観中。座りながらみんなに指示するつもりらしいです)
「んあ?嘘だろ・・・?って幸村お前・・・」
「・・・・・・・・・・」
全員が幸村の持っている本を見てみました。
・・・・・あなたが今読んでるのって
『今夜は迷わない!絶品おかず100選!!』じゃないですかぁ!部長うううう!!!
そりゃあケーキの作り方載ってる訳ないない。幸村は不思議そうな顔をしてまだ「今夜は迷わない!絶品おかず100選!!」を眺めています。
「あれ?載ってないね。これ」
「いやぁ・・・・ま、まぁ俺がみんなに作り方指示するからそれでいいだろぃ・・?」
「丸井が指示するのかい?フフ。」
「・・・・・・」
丸井がそう言ったところで幸村の笑顔が見えました。みんなその笑顔に恐怖を覚えます。
「俺がみんなに指示したいんだけどなぁ〜フフ」的なオーラが漂います。
そんな空気を切ってくれたのは、データを超えたデータマンの柳でした。
「精一、仕方がないだろう。もう時間も圧している。さっさと作業を進めよう。」
「・・・・・・・・・」
参謀に怖いものはないんだなぁ。
とか全員おもいながらも、初めの作業に取り掛かることにしました。
「そんじゃ、まず薄力粉をこし器でふるわねぇとな。・・・それ仁王と赤也頼むわ。」
「うぃーっす。」
「何グラムふるえばいいんじゃ?」
「あーっと・・・・確か80gだったな。よろしく頼むぜぃ!俺はその間に型の用意とかすっから!」
どうやらレシピはもう丸井の頭の中に組み込まれているようです。
仁王と切原は丸井に言われた通りに薄力粉を80gきっかり計ります。
そしてそれをこし器でふるおうと思ったのですが・・・・・・・・
「のう赤也。」
「なんスか?」
「こし器ってどれかのう?」
「あ、それ俺も思いました。」
丸井に助けを求めようと二人は丸井を見ましたが、その丸井はなんだか忙しそうに柳生と作業中。
これは自分達でこし器を探し当てるしかありません。
「コレっすかね?」
「いや赤也。それはザルじゃて。それは俺でも分かるぜよ。」
「あ、そうっすよね。」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「なぁ赤也。」
「なんスか?」
「もういっその事ふるわんでもいいんじゃなか?」
「・・あ、そうっすよね。」
「粉って既にサラサラなんじゃから「粉」じゃろ?それを篩って何にもならんし。もうええじゃろ。」※いけません
「そうッスよね。」
切原がニシシっと笑って、二人の粉ふるいは終了しましたとさ。
そこにボールをかかえた丸井が戻ってきました。
泡だて器を手にして、ボールの中の卵を手際よく掻き混ぜています。湯銭状態のボールの中は何やら白っぽくなった卵がありました。
「お、ふるい終わったかぁ?」
「完璧っすよ!」
「にしても終わるの早くねぇ?」
「イリュージョンじゃ、イリュージョン。(=サボり)」
「ふぅん・・・ま、サンキュ。」
丸井は切原と仁王から目線を外してまた自分の手元に視線を戻しました。
*
〜それから数分後〜
「えっと・・・んじゃ混ぜ始めるぜぃ。・・あ、真田。バターを皿にうつしてくんねぇ?」
「バター?」
丸井の問いに自分の目の前に置かれたバターの存在にも気付けない真田。すかさず横に居るペテン師が
「これがバターじゃよ。」と耳打ちします。
「うむ。これか。」
「んじゃそれ、皿に移したら40秒くらいレンジにかけてくんねぇ?」
「蓮二がどうした!?」
「副部長!ちがいますって!電子レンジです!レンジ!」
切原が真田に耳打つ。しかし真田は分かってないご様子。
「だから蓮二がどうしたというのだ!?」
「だー!もう!ジャッカル!真田連れてレンジの使い方教えて!」
「俺かよ!?」
「なんだ、ジャッカル。俺に蓮二の容態を教えるのがそんなに気に喰わないのか・・?」
「ちがっ・・・・」
「おい、言っておくが俺は今のところ健康体だぞ?」 By 蓮二
とかとか3人が言っている間に結局柳生君が電子レンジでバターを溶かしてくれました。(チーン!)
そして、40秒後。
「よっし!んじゃあ混ぜるぜい!」
丸井がゴムべらを手に持って意気込んだ時───
「・・・・・・・あれ?幸村がいねぇ・・・」
スキンヘッドのブラジル君が言いました。その言葉に全員が教室の前を向きます。
「「「あ。」」」
確かに、そこには椅子に座っていたはずの幸村が消えていました。
みんなケーキ作りに必死で、 あろうことか幸村君の存在を忘れていたのです。
「幸村・・どこ行ったんじゃろうな?」
仁王がそう口にしたその時!!
勢い良く調理室のドアが開いて、幸村魔王が(神の子)姿を現しました。
そんな魔王は笑顔でこっちに歩いてきます。みんなは無意識のうちに一歩後ずさります。
「幸村、今までどこに行っていた?」
恐れ知らず第二号の真田が幸村に言います。
それに幸村が答えました。
「フフフ。どこに行っていたかって?聴きたいかい?
ケーキの作り方載ってなかったからあの「今夜は迷わない!絶品おかず100選!!」をちょっと燃やしてきたんだ。ふふ。」
「「「・・・・・・さ・・・・・・・・・・」」」
さらば、おかず本!!!
幸村は変わらぬ黒い笑いで「コンビニで買ってきたんだ。コレ。」と言って、手に持っていた新たな本を見せる。
その本の背表紙には「失敗しない!ケーキ作り!」と書かれている。
部長恐るべし。
「フフフ。丸井、これで俺が指導権握っていいのかな?」
「あ!?ああ!いッ・・いいぜ!」
「良かった。」(魔王笑う)
幸村はまた同じように椅子に座って本をめくりました。
丸井を含め、全員が定位置に戻ります。幸村が口を開きました。
「それじゃあ、行くよ。俺の言うとおりにしてね。」
「あっああ。」
「えっと・・・・・・・・」
「ふるった薄力粉をふりまくように・・・柳!入れて!丸井混ぜろ!」
魔王光ー臨ー!!!
「ほら!仁王!突っ立ってないで!丸井のボウルを支えて!、あ!丸井!
そこはそうやって混ぜるんじゃなくて、縦に切るように!片手でボールを手前に回しながら
底から生地をすくって向こう側に返すようにして白い粉が見えなくなるまで丁寧に混ぜる!!
それでお菓子職人を名乗ってたなんてこっちが恥ずかしいよ!
ジャッカル反射して眩しいからそこに立ってちゃ駄目だ!!」
・・・・・・・・・。
一同唖然。
幸村のマシンガントーク?いえいえ、マシンガンな指令はどんどこ続きます。
「次はバター!おい!!!赤也そのバター固まりかけてるよ!もう一度レンジにかけて!」
「うあっ!はいいい!!」
「ジャッカルまだ眩しい!もう電気のあたってないとこに移動して!みんな動きが悪すぎるよ!」
「すっすまねぇ!」
「バターが溶け終わるまでみんな気を抜いちゃ駄目だよ!・・・真田!!」
「なんだ幸村。」
「そんな怖い顔してたらケーキも不味くなるんだ!嫌でも笑え!
「むっ・・・・・・!」
「部長!バター溶けました!」
「よし!それを柳生!丸井のゴムべらの上にワンクッションさせる感じで流し込んで!」
「はい、分かりました。」
「丸井!ここからは出来るだけ早く!泡を潰さないようにバターの筋がなくなるまで
混ぜて!バターを加えるとどんどん泡が消えるからね!手早く混ぜるんだ!底からしっかりすくって・・!!」
「まっ任せろぃ!!」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」(※一時休戦)
「混ぜ終わったら繊細に!大胆かつ繊細に型に流しいれる!!!」(※再開)
そんなこんなで、ケーキ作り前半終了。
果たしてスポンジは膨らんでくれるのでしょうか?
(まず粉をふるってない時点で危ういっていうのは言わないで下さいね。)
↓後半に続きます。
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