チーン!
電子レンジがそう音を上げて、なんだかいい匂いが調理室を包みました。
丸井がレンジを開けて、中を確かめます。
竹串を差した所、いい焼け具合みたいです。
なんとか、スポンジは完成しました。
・・・・・・・・・・・が。
どたばたプレゼント
「なんだかんだ言っても上手く焼けたッスね!」
「ですね。なんだかとてもいい香りですし。」
柳生と切原がふっくらと焼き上がった生地をみて言います。丸井はそれを慣れた手つきで型から外して、
冷ますために、台に乗せます。
「フフフ。後はクリームを泡立てて、冷めてから飾り付けるだけだね。」
「そうだな。」
幸村部長はさっきとは正反対の口調で柳とほがらかに話しています。
(※そこをツッコむと魔王がまた光臨するのでやめましょう)
そしてそれから生クリームを泡立てて、ケーキーのデコレーションが始まろうとしていました。
その時の時刻、何時の間にやら午後12時。
が来るまであと一時間もないじゃあありませんか。
「よし!それじゃあみんな!各自もって来たデコレーション用のものを出して!」
「「「イエッサー!!」」」
そんな少し抵抗ある掛け声とともに、みんな机の上に色々なものを出してきました。
その中にはいつの間にか暗い所から帰ってきたジャッカルもいました。
───ここで補足説明。
デコレーションに使うイチゴや、みかんやバナナやチョコなど。
それらは各自でそれそれ持参するという事をあらかじめ決めていたようです。
そっちの方がケーキに独自性が出るんじゃあないかという、彼らの必死の結論だったのです。
ですので、みんながどんな食べ物を持ってきたかでケーキの見栄えはガラっと変わってしまう。のですが・・・・・。
「ふぅーん・・・・・」
代表取り締まり役でもある部長幸村が、みんなが持ってきた食材を審査して回ります。
おいおい、さんが来るまであと45分しかないですよ。間に合いますか?
「・・・・ん?丸井、これはなんだい?」
「んあ?・・・ガムだけど?」
丸井が持参してきた食材は、なんとガム。
彼はこれをケーキに盛り付けようというつもりなんだろうか・・・・・?
「これをケーキに盛り付ける気なのかい?」
「ああ。俺いっつもそうしてるぜぃ?」
・・・・・・・・・。
おい!お前ケーキ作り得意なんじゃなかったのかぁああ!と突っ込みたくなるのは、こらえておきましょう。
魔王幸村の検査は次の人物へ。
「ん?ジャッカルは・・・コーヒー豆かい?」
「あ、ああ。俺コーヒー好きだからな。」
「ふぅん。まぁ君によく似合ってるよ。フフフ」
えええええええええ・・・・・・ツッコむとこそこ?
という全員の雰囲気を読むことなく、魔王幸村の検査は続きます。
「真田は・・・・・チョコペン?しかもピンク色」
「ああ。これでいつもありがとう。と書き込んでやろう。」
・・・・・・・・真田。
顔は怖いけど。
言ってる事は可愛いなオイ・・・!!!
「仁王は・・・プチトマト?」
「いんや。それはイチゴじゃよ。」
「どう見てもプチトマトだよね?」
「いんや、イチゴじゃよ。プリッ」
仁王。
全く詐欺れてナッシーーングっ!!
「柳は・・・イチゴかい?」
「ああ。」
「普通だね。」
「これがベストなデコレーションだと思うんだが。」
・・・・ごもっとも!!!
「赤也は何持ってきたんだい?」
「んあ?俺っすか?俺はイクラっすよ!イクラ!ほらほらなんかキラキラして綺麗じゃないっすか!?」
「魚介類か〜思いつかなかったよーフフフ・・・柳生は何を持ってきたんだい?」
「私はところ天を少々。」
「そうだね。飾り付けたらクリスタルみたいにみえるもんね。」
「はい。」
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・って・・みんなケーキをなんだと思ってるの?」
全員の検査を終えたとき、魔王が大きな声で言いました。ああ、恐ろしい。
「そんな普通なものじゃ駄目だって言っただろ!?もう本当に・・・」
幸村は歩きながら言いました。
それにとうとうムっときたのか、丸井が言い放ちます。
「じゃあ幸村は何持ってきたんだよぃ!?」
「・・・・・・・・・・」
その言葉に幸村の笑顔が固まり。
ああもう丸井ご臨終だ。とかみんなが思っていると、急に幸村が笑い出しました。
「フフフフ・・・俺が一番正しいものを持ってきたと思ってるよ。
俺が持ってきたのはこれだよ!」
幸村は勢い良く自分の鞄から「それ」をみんなに見せました。
「それは・・・・!!」
───白い粒。
ちゃんとひとつひとつ袋に組み込まれたそれは・・・・ラムネ?とか思いましたが、違います。
彼が持ってきたものは、風邪薬でした。
「これをケーキに入れれば風邪も引かなくてすむし、のためにいいだろう?」
「「「・・・・・・・・」」」
いやいや、魔王。あなたが持ってきたものこそヤバイと思います。
いくら病院生活が長かったからっていってもそんなトラウマになることないと思います。
「さ、盛り付けようか!」
幸村が元気良く言いました。
*
「で・・・・出来た・・・・・・・・」
それから20分も立たないうちにケーキのデコレーションが終わりました。
結果は当然、ズタボロな物体ができただけでした。
いやもう、見事なまでの可笑しな食材のコラボレーションにケーキというものなのかも分かりません。
「先輩喜んでくれるかねぇー?」
切原が嬉しそうに言います。※喜べません。
「よし、が来る前にこのケーキを部室に運ぼう。」
「「「イエッサー!」」」
みんなエプロンを脱ぎ捨てて、いざ部室へ行こうとした時───
ガラッ
「あれ?みんなこんな所で何してるの?」
「・・・・・・・お・・・・・・・・
おおおおおいいいいいい!!!来ちゃったじゃんよ!
そう、調理室のドアから顔を覗かせたのはだったのです。
彼女はきょとんとした表情で全員の顔を見ます。
「、なしてお前ここに俺らがおると分かったんじゃ?」
「え・・・?いや・・・・・その・・・・・」
「「「?」」」
仁王の問いかけにはなんだか言いにくそうに顔をうつむけました。
そして、顔を上げて言ったのです。
「えっと・・今日クリスマスだから・・・・みんなに喜んでもらおうと・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・ケーキを作ってきて・・・」
・・・・・・・・ハイ?
「こっそり調理室のお皿とか借りに来たんだけど・・・・・・・・・・」
はそう言いながら、手に持っていた袋からケーキを取り出した。
いやはや。
それはまぁ男たちが作ったケーキとは比べ物にならないほどおいしそうなケーキ。
男たちは心で苦笑。ちくしょう。あっはっは。
「・・・・・・あれ?みんな・・・どうかした?」
は丸井や真田の顔を覗きます。
「ん!?んんんんん!いやいや!何でもねぇって!」
「あれ?幸村は?」
「ああ、焼却炉までちょっと証拠隠滅に・・・・(=ケーキを燃やしに)」※食べ物は粗末にしてはいけません
ジャッカルたちがそう話していることに、またきょとんとする顔を見せる。
が作ったケーキはそれはとてもとても美味しかったみたいです。
こうして男たち8人の計画は失敗?におわってしまいましたとさ。
どたばたプレゼント
(ケーキ作りは失敗が大切ですよね。)
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・・何が書きたかったんだろう!?(切実)
クリスマス夢じゃない!
ってかヒロインさん最後しか出てない!!のぁああ!
クリスマスだからって甘い夢を書きたかったんですが、
夢に終わってしまいました。(ずーん
きっと他サイトさまは素敵なクリスマス夢書かれて
おられるのに・・・・
なんだぁ!このクリスマス夢はぁあ!!!と
どんどん喝入れてください(土下座)
それでは、素敵なクリスマスお過ごしになってくださいv
071224 ナミダ