ふぬぬっ!!意地でもバランス保ってやる!
吊革を持つ手に力をこめて、私はなんとか難を逃れた。
体制を立て直して、彼の前に立った。
「おー。すごい運動神経じゃのお。」
「どういたしまして!」
「なぁ、返事くれんのか?」
「へ・・・返事って・・・返事っていわれても・・・」
私何考えてるんだ・・・。
この男に会ったのはほんの10分前のことじゃない!
なのに・・・・
好き・・・なんて・・・・
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
気付いたら、電車は駅に止まっていた。
扉が開いて、私たちは出口へと足を進める。
「発車します。白線の内側まで・・・・・・・・」
私は何も答えられなくて、きっと顔だって赤かった。
下を向いていたら、その男は言った。
「。」
「何?」
「俺は仁王雅治。・・・いつかお前の事手に入れてみせるけぇ。」
なんて詐欺師みたいなことを。
そして、いつだったか。
仁王雅治が私の ” 彼 ” になるのは
それからまた後の話。
Mysterious Morning
END
→ 電車を乗った時に戻ってみる。
→ あとがきに行ってみる